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第十回「夏に雪が降る国で」後編
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「夏に雪が降る国で」後編

 



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純白の宝国。
夜の女神様に捧げる、宝冠づくりをする少年が住んでいました。

もし、夜の女神様のお気に召す宝冠が作れたら。
お願い事をひとつだけ叶えてもらえるのです。
そのためには、絶対に必要な材料がありました。

この国に降り注ぐ、真っ白な宝石たちのなかから。
たった一つだけ存在するという、「雪華」を見つけなくてはならないのです。
少年は、毎日毎日、その結晶を探し続けていました。

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ある日のこと。
いつものように「雪華」を探していると、女の子が倒れていました。
少年は驚いて、家に連れ帰り介抱しました。

少年の懐中時計がティクタクティクタク。
針が何回まわったか、わからなくなった頃。
女の子は元気になりました。

「遠い遠い、夜の国からやってきたの」と、女の子は教えてくれました。
助けてくれたお礼に、「雪華」探しを手伝ってくれることになりました。

二人は来る日も来る日も、探し続けました。
ヒュリュヒューヒュリュヒ、ヒュルルヒュー。
どんなに凍てつく日も、二人で冷たくなった手を温めながら。

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それから何年の月日が流れたことでしょうか。
その日は、今まで見たことがない、美しい月夜でした。
少年と女の子が月に見とれていると。

キラキキラキララ。
なんと、舞い降りてきたのです。
これこそ、二人がずっと探していたもの。
この世にたったひとつだけしか存在しない、「雪華」だったのです。

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少年と女の子は、必死で「雪華」をかき集めました。
ついに、夜の女神様に捧げる宝冠が完成するのです。

少年は雪華の宝冠を作り始めました。
しかし、それまでの無理がたたって、少年は倒れてしまいました。


つづく。




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