近くて遠い。遠くて近い。そんな二人はどんな関係?

石井みつこさんの油彩画作品「二人の距離」です。
アートスペース油亀の企画展　石井みつこ油彩画展「シアワセの単位」の出品作品です。

mitsuko ishii 2011, Oil on canvas,455 x 455 mm S8　額別


きっかけは、結婚したばかりの友人夫婦の小さないさかいだった。
いろいろな悩みや不満を抱えつつ、彼ら彼女らは自分たちの選んだ
他人と同じ屋根の下に住み、1 つの家庭を築いていく。



傍から見ると、たいした事は無いのだが、当の本人同士は本当にけ
んかをしているような口調で、まるで兄弟げんかをしているよう
だった。
当時の私は、恋愛結婚した夫婦は仲が良いのだろうと信じ込んでい
たので、まるで子どものけんかのような口調に驚いた。
以前から、相手に対する愚痴は時折聞かされていたので、もしかし
たらすぐに離婚するのでは？と、本気で心配してしまった。
友人夫婦はそんな私のいらない心配をよそに、愚痴を言いながらも
子どもを2 人もうけ、更にはマイホームまで建ててしまった。
そのほかの結婚した友人たちも、お互いの相手に対して不平不満を
いいつつも、幸せな家庭生活を築いている。
私は彼らの愚痴を聞くたびに「そんなに不満をいうなら何故結婚し
たのだろう？」と疑問に思っていた。
もちろん、不満をいわない友人もいるが。

実際に結婚している、していた友人や知人に結婚前と後のそれに対するイ
メージと現実、そして相手のことなどの質問をした。
その話の中から何かが分かればと思ったのだけど、「結婚してよかった」
という感想を全員から聞いただけで、結局核心のところは分からなかった。
家庭というのはひとつの単位であり、夫婦は幸せになるために家庭を作る
のだ。





■ギャラリーコメント
「シアワセの単位」
この展覧会の開催にあたり、石井みつこは複数の被写体に向けていくつか
の質問を投げかけました。
質問をすることで生まれた1 つの言葉、さらにはメディアを通して見た
さまざまな家庭からイメージしたものを作品化しています。
家庭生活にある表の部分と裏の部分、ふたりの関係性。
幸せな家庭を作っている、または作っていた彼らから生まれた不思議がそ
こに見え隠れします。

アートスペース油亀　代表 柏戸喜貴



■artist profile 
石井みつこ　
1974 岡山県倉敷市生まれ。
山口大学教育学部中学美術科卒業。倉敷芸術科学大学油彩画にて１年間研修生。個展・アートフェスでのインスタレーションを含む発表を行う。
受賞歴：08年シンジュクアートインフィニティ入選 、山口県美術展優秀賞、 他多数。
主な展覧会：11年アートスペース油亀企画展「食べる。」（アートスペース油亀）
09年 アートスペース油亀企画展「シアワセの単位」 （アートスペース油亀）  
06年・07年 「出石芸術百貨街」(岡山市北区出石町)