朝ごはんオーケストラ > 第二楽章 パンプレートマーチ

「目玉焼きに大真面目」

 

油亀のweb通販「油亀ジャーナル」より栃木県の陶芸家、寺村光輔さんの瑠璃釉オクトゴナル 
ギリギリまで布団にこもる。
朝食はいつも急ぎ足。
そんな日常が急転直下。
ある日のこと、朝五時に起床して台所へ。

どうしても目玉焼きが作りたい。
朝ごはんに食べたいんだ。
思い立ったのは、前日の夜。
その目玉焼きなら、食べられるに違いない。

生卵が食べられない。
半熟でも食べられない。
家族はみんな生卵が好きで、すき焼きの際にはかかさない。
でも、私だけが生卵なしで食べていた。
目玉焼きもしかり。
家族一同、黄身がトロリトロリとした目玉焼きをトーストにのせて。
「ラピュタパン」を美味しそうに頬張っていても。
私だけが目玉焼きなしのトーストを食べていた。

油亀のweb通販「油亀ジャーナル」より神奈川県の陶芸家、大隈美佳さんの動物plate 

知らない人もいるかも知れないので、念のために説明しておこう。
「ラピュタパン」はスタジオジブリの映画『天空の城ラピュタ』に登場する料理である。
パンの上に目玉焼きをのせた非常にシンプルな料理だ。
主人公のパズーとヒロインのシータ。
二人が目玉焼きをパンにのせて食べる場面を見て。
我が家では「ラピュタパン」がブームになったのだ。

しかし、私は目玉焼きが食べられない。
偏食と言われればそれまでだが、どうしても生卵や半熟玉子が苦手だった。
「ラピュタパン」への憧れはあったものの、食べるなんで夢のまた夢だったのである。
周囲が「ラピュタパン」を美味しそうに食べるのを横目でみつつ。
羨ましさをぐっとこらえて、毎朝を過ごしていたのだ。

油亀のweb通販「油亀ジャーナル」より山口県の陶芸家、ヒヅミ峠舎さんの染付ツバメ文7寸リム皿 

それから数年たったある日のこと。
私は『美味しんぼ』と運命的な出会いをする。
料理漫画の金字塔として有名なこの漫画にこそ。
目玉焼き難民を救ってくれたエピソードがあったのである。
「黄身と白身」と題された回だ。
目玉焼きについて「国際目玉焼き会議(IFEC)」という世界会議が開催。
全世界75カ国、300人以上の委員が、大真面目に目玉焼きについて熱い討論を交わしている。
そこで知ったのだ。
目玉焼きの焼き方は、大きく分けて2種類あると。

油亀のweb通販「油亀ジャーナル」より北海道の陶芸家、馬渡新平さんの日々粉引き皿 

私達に馴染み深い目玉焼きは、「サニーサイドアップ」というらしい。
卵の片面だけを焼き、黄身が半熟になる。
我が家の目玉焼きもこれだった。

そしてもう一種類。
世の中には半熟以外の目玉焼きしかない。
他の焼き方があると疑いもしなかった。
私の固定概念を覆した焼き方が、登場する。
「ターンオーバー」だ。

片面を焼いた後、卵を裏返して焼き上げる。
もう片方にもまんべんなく火を通すから、
黄身を固めに仕上げることができる。
これだ、これが私の求めていた目玉焼きだ。
生卵はダメ。
半熟もダメ。
だけど火を通した卵は大好き。
そんな私の救世主。
これで食べられるんだ、目玉焼きを食べられるんだ。
早く目玉焼きを、「ターンオーバー」を作りたい。
「ターンオーバー」を作って、トーストにのせたい。
明日は早起きして、ラピュタパンを食べるんだ。
こうして、人生初の目玉焼きに挑戦することと相成ったのである。

油亀のweb通販「油亀ジャーナル」より岡山県の陶芸家、細川敬弘さんの大皿 

あれから四半世紀以上の時が流れた。
不惑を迎える年が近づいてきたというのに、人生には惑うばかり。
「四十にして惑はず」の境地には達せれそうにない。
だが、唯一惑わないことがある。
目玉焼きだ。
「ターンオーバー」で焼いて。
塩胡椒を少々。
トーストにのせて、ラピュタパン。
パン皿は、パンのかけらを安心して受け止めてくれる、
少々大きめなものがお気に入り。
初めて作ったあの日から、「ターンオーバー」は朝ごはんの相棒なのだ。



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